「母を助けたかった」——コロナ禍の高校生が始めた100均チャンネルが、総フォロワー200万人になるまで
「ダイソーで見つけた神アイテム」「無印の収納術」——Instagramでそんな投稿に助けられたことのある方は、多いのではないでしょうか。
その発信元のひとつが、コエレル株式会社です。フォロワー117万人の「100均チャンネル」を筆頭に、収納・掃除など主婦向けの7つのSNSアカウントを運営し、総フォロワーは200万人超。これらのメディアを立ち上げたのは、当時まだ高校生だった櫻井大葵さんでした。
コロナ禍から、200万人のメディアへ。代表取締役の櫻井さんに、創業までの道のりを伺いました。
学生社長が「メディアを持つ」と決めるまで
櫻井さんがInstagramを始めたのは2020年。コロナ禍のステイホームで「お家を彩りたい」という需要が高まったタイミングでした。
「一つは、コロナで働き口がなくなったので、在宅でリモートでやれることをやっていかないと、と考えたこと。二つ目は、就職活動をより良くしたいという思いでした。商社や総合広告代理店のような、難易度が高いと言われる就職先を目指していたので、逆算したときに、自分でゼロイチを作った経験は強みになると思ったんです。」
実は高校時代、YouTuberの動画編集の仕事をしていた櫻井さん。
「動画編集は1本やったらいくら、という労働集約型で、自分の体を使って働かなければいけない。拡大していくのは難しいと思いました。それなら、自分が働いていなくても機能する『メディア』を持とうと考えたんです。」
好きだから続けるのではなく、仕組みとして成立するかで選ぶ。この戦略眼が、コエレル株式会社の原点になりました。
なぜ「100均」だったのか——戦略と、母への思い
理由を尋ねると、「戦略」と「母」という二つの答えが返ってきました。
「稼げるメディアといえば、美容・ダイエット・金融などのジャンルです。企業の広告宣伝費の割合が非常に高い業界だからです。ただ、それらの稼げるメディアにはすでに競合がひしめいています。だったら逆に、みんながやっていない、稼げないと思われているところに入るのが良いと考えました」
もう一つの理由が、家族でした。当時、櫻井さんの祖父は認知症を患い、自宅介護の日々。母親の大変な姿が、すぐそばにありました。
「一つでも母を助けられる、それも経済的に助けられるといいなというのがありありました。100均で便利なものを紹介していけば、母に向けても『これ役立ったよ』と届けられます。家事が少しでもラクになってもらえたらと思って、100均チャンネルを始めました」
さらに、100均というジャンルを選んだ背景には、時間軸の計算もありました。
「メインターゲットになるのは主婦層です。では主婦って何年あるんですかというと、25歳くらいから65歳くらいまで、40年間あると思ったんです。たとえば、学生向けのアカウントでは、見てくれるのは大学の4年間であり、10倍の差があります。長く見てもらえるメディアとしてやっていきたいと思いました」
もう一つの理由は、100均ジャンルから広げていける可能性でした。
「100均という業界自体が、廃れることはないんだろうなと思っていました。100均で主婦さんが集まれば、掃除をもっと知りたい、収納を知りたい、植物を見たいと、そこから派生したアカウントも作れます。暮らしの中心に100均を置くことで、主婦さんの生活をラクにして、彩るところまで広げていけます。100均ジャンルは、一番集めやすい入口だと思ったんです。」
その見立てのとおり、現在は収納(フォロワー48万人)、掃除(33万人)、観葉植物など6つのアカウントへと広がっています。「あとから気づいたこともありますけど、ある程度は見込んでいました」と、櫻井さんは控えめに振り返ります。
母を思う気持ちと、長い時間軸で組み立てた戦略。この二つが重なった場所に、100均チャンネルはありました。
「事業として伸ばせる」——法人化を決めた経営判断
アカウントは着実に成長し、櫻井さんは約1年間の個人事業主期間を経て、法人化します。その後、フォロワーは100万人に到達しました。
「法人化した理由は、ある程度売上が作れてきたことと、まだまだ事業を伸ばせるという経営戦略が見えていたことです。売上や経費、残る利益を考えたときに、事業としてやった方がいいなと考えました。就職活動は、法人を立ち上げたあたりからもう考えていませんでした」
就職活動を有利にするために始めたInstagramが、就職という選択肢そのものを必要なくしました。事業としての手応えは、それだけ確かなものでした。
100均チャンネルはテレビ番組でも紹介され、そこから別の番組の話が来ることもあったといいます。フォロワーが増えれば、紹介した商品を買ってくれる人も増え、売上につながる。メディアとしての価値が、着実に積み上がっていきました。
社名に込めた、祖父の50年を「超える」誓い
「コエレルは『超える』という日本語から来ています。私の祖父は、50年間、町工場で製造業をやってきた人でした。特許を持っていて、あまり日の目を浴びないようなところですが、しっかり製造業として50年間やってきたんです。
売上も、社会貢献も、いろんな要素がありますが——私は創業して数年です。祖父が50年やってきたことを思うと、少しでも長く一緒にやっていけるように、という思いでこの名前がついています」
認知症の祖父を介護する母を助けたくて始めたメディアが、祖父への敬意を込めた社名の会社になりました。コエレル株式会社の原点には、家族の存在がありました。
「主婦が輝く社会」というビジョンを掲げ、いまは全国約40人の主婦メンバーとともにメディアを運営するコエレル株式会社。フォロワー200万人の先に見据えるのは、主婦の声が商品になり、暮らしがもっと楽になっていく未来です。祖父が積み上げた50年に並ぶまで、道のりはまだ続いていきます。
全員が在宅、ほぼ100%が未経験から——コエレル株式会社で働く主婦たちが「楽しい」と言う理由
「子どもがまだ小さいから、外では働けない。でも、在宅で何かできないかな」
総フォロワー200万人超の主婦向けSNSメディア「100均チャンネル」などを運営するコエレル株式会社。この会社で働く約40人のメンバーは、全員が在宅勤務。中心は30代・子育て中の主婦で、そのほとんどがSNS未経験からのスタートです。
なぜ、未経験の主婦とともにメディアを作るのか。代表取締役の櫻井大葵さんに伺いました。
「自分自身がターゲットになっている人」と働く理由
コエレル株式会社で働くメンバーは全国各地にいます。会社の体制として、100%在宅勤務です。
「主婦向けのメディアであり、主婦向けの商品をお手伝いすることも多いんです。そうなると、自分自身がターゲットになっている方々に集まってもらった方がいいというのが理由のひとつです。実際に主婦として暮らしている方が入ってくれると、体制としても強いんです」
100均グッズの投稿を作るのも、収納術を紹介するのも、日々それを使って暮らしている主婦本人。読者と作り手が同じ目線に立っていることが、200万人に支持されるメディアの土台になっています。
もう一つの理由は、社会の側にありました。
「労働力不足が日本の問題としてあります。子どもがまだ小さいから何かできないかなと考えても、なかなか働けない方が非常に多いんですよね。在宅で自分の力を生かして、子どもがいても働ける環境を作れたら、労働力不足も解決できるし、働く場所がないという主婦さんの問題も解決できます。一つの働く間口になれたらと思っています」
労働力が足りない一方で、働きたい人が働けずにいる。コエレル株式会社の在宅という選択は、 この矛盾に向き合った結果でした。
月数万円の安定収入と、「事業内容が楽しい」という声
意外なことに、メンバーのほぼ100%がSNS未経験で入社しています。スキルは、入ってから身につけてもらう方針です。働き方の実像についても、率直に語ってくれました。
「ものすごく給料が欲しいという方には、合っている環境ではないかもしれません。ただ、安定して月3万円、5万円のお小遣いになるものが欲しいという方にとっては——やっていることが、すごく面白いんですよ。100均グッズを作るお手伝いをしたり、商品をどう見せるといいのかを探してきたり。今まで自分自身がやってきたものをそのまま出せる仕事なので」
在宅で月5万円を安定して稼ぐことは、実は簡単ではありません。シフトを組んで外で働くことが難しい主婦にとって、自分の好きな時間を使って、暮らしの経験をそのまま生かせる仕事は貴重です。
そして櫻井さんによると、メンバーを続ける理由はお金だけではないといいます。
「うちのメンバーは、やっている事業内容がすごく楽しいというところが大きいんです。主婦同士のつながりもできますし。在宅でこれだけ働いているというのをママ友に話して、ママ友からの紹介で入ってくる方も結構います」
働いている本人が友人に薦める職場であること。楽しさと、つながりと、安定した数万円の収入。その循環が、40人の組織を育ててきました。
「主婦が輝く社会」への入口として
コエレル株式会社はビジョンに「主婦が輝く社会」を掲げています。それはメディアの読者に向けた言葉であると同時に、働くメンバーに向けた言葉でもあります。
読者として家事をラクにする情報を受け取っていた主婦が、今度は作り手として発信し、収入を得て、つながりを持つ。メンバーは徐々に増え、現在は約40人になりました。
子どもがいても、未経験でも、在宅で働ける——コエレル株式会社の組織は、その考えを形にしながら少しずつ広がっています。
「勝手に広がっていく状況」をつくる——総フォロワー200万人のコエレル株式会社が手がけるSNS支援
新商品のプロモーションに100万円の予算があるとして、どこに使うのが最も効率的でしょうか。リスティング広告、展示会への出展、新聞広告——選択肢は無数にあります。
予算の使いどころを、自らのメディア運営で確かめてきた会社があります。主婦向けSNSメディア「100均チャンネル」(フォロワー117万人)など7アカウント・総フォロワー200万人超を自社運営し、その知見で企業のSNSマーケティングを支援するコエレル株式会社です。
代表取締役の櫻井大葵さんに、支援の中身を伺いました。
自社で200万人を集めた会社が、企業のSNSを支援する
コエレル株式会社の事業は大きく、SNSマーケティングとインフルエンサーマーケティングに分けられます。企業が長期的に自社アカウントを育てたい場合は、自社メディアで培ったノウハウでフォロワーを増やす運用支援をします。毎月の予算はかけられないが新商品のプロモーションは打ちたい、という場合は、単発の施策をカスタマイズして提案します。
「たとえば、この商品は高齢者層に届けられるとなったら、高齢者系のインフルエンサーの方々を使ってバズらせてく提案や、SNS広告の配信を組み合わせた提案など、企業さんの状況に合わせてカスタマイズしていくイメージです」
提案の根拠は、日々の実践にあります。どんな投稿が主婦に届くのかを自社メディアで検証し続けてきた知見が、そのまま企業の支援に生きています。
企業の予算を、どこに使うのが最も効率的か
インフルエンサーマーケティングとは何なのか。櫻井さんの説明は、予算の使いどころという視点から始まりました。
「企業が広告宣伝費として、この商品に対して予算を出したいとなったとき、どこに使うと一番効率がいいのか。リスティング広告に出す、展示会に出展する、新聞に出す、いろんな選択肢があります。その中で私たちができるのは、他の媒体でやるよりも最も効率よくできますよ、というのがインフルエンサーを使った広告なんです」
そして、施策の成否を決めるのは、誰に何を投稿してもらうかの設計だといいます。
「この商品だったら、このインフルエンサーに、こういう動画を載せてもらったらいいよねというところを作るんです。野球のスカウトと同じように、インフルエンサーの選定から見せ方まで、提案と実績を出せるのが私たちの強みです」
さらに、コエレル株式会社は主婦向けという強い立ち位置があります。
ゴールは「勝手に広がっていく状況」
コエレル株式会社が目指すのは、広告を打ち続けなくても商品が広がる状態です。
「最終的に企業さんとして一番いいのは、商品をみんなが勝手に広げてくれる状況です。広告宣伝費がかからずに、口コミでどんどん広がっていく。そんな状況を作ってあげたいんです」
私たちがお金を使ってPRしたものが、どんどん広がっていく。バズがバズを呼ぶような状況が作れたら、その分の広告効果は追加の予算をかけずに生まれることになります。企業にとっては、予算を抑えながら成果を伸ばせる道筋です。
その起点を作るのが、インフルエンサーの選定と見せ方の設計です。
「商品が良くなければバズらない」——だから商品開発から入る
支援を重ねる中で、コエレル株式会社は一歩踏み込んだ商品開発の支援に進み始めています。
「商品が良くなかったらそもそもバズらない。だったら、SNSで受けるものを私たちは知っているので、その知見をもとに商品開発から支援をしています。いい商品ができれば、これは絶対バズるよねと、そこから広げられます」
興味深いのは、コエレル株式会社のメディア運営の姿勢です。実は、100均チャンネルで日々紹介している商品は、企業から対価を受け取っていません。損得感情抜きで、よかったものを紹介しています。
だからこそフォロワーの信頼が積み上がり、その信頼が「この会社が紹介するなら」という拡散力の源泉になっています。PRのための媒体ではなく、主婦に信頼されるメディアであること。それがコエレル株式会社の支援の土台です。
その先に見据える、ECと海外展開
構想はさらに広がります。フォロワーから「買いたいのに店舗で買えない」「廃盤になってしまった」という声が届くたび、櫻井さんはもどかしさを感じてきました。
「メーカーさんの都合で廃盤になって、買いたかったのに買えない、という残念なことが起きています。だったら、眠ってしまった商品を私たちが仕入れて売ってあげる仕組みができたら便利だと思ったんです。それに、100均は日本の素晴らしいインフラです。これだけ品質が高いものをこの値段で出せるのはなかなかない。SNSを通じて海外の方々にも届けて、世界中の主婦さんの生活を楽にしていきたいですね」
メディアで信頼を集め、支援でバズを設計し、商品開発とECで暮らしに還元します。コエレル株式会社の企業支援は、「主婦が輝く社会」というビジョンの延長線上にあります。200万人の主婦とつながるメディアを持ち、その届け方を知っています。SNSで商品を届けたい企業にとって、心強いパートナーになるはずです。
会社情報
コエレル株式会社
所在地:埼玉県川口市
事業内容:SNSメディア運営/SNS運用支援/インフルエンサーマーケティング/商品開発支援
HP:https://koereru.com/


